第86回会員研修会のご報告
【第86回 会員研修会報告】
平成30年2月24日(土)北海道大学学術交流会館で、私たちが日常生活で頻繁に口にしている「食」に関する2題の講演会が開催されました。約50人の参加をいただきました。簡単ですが内容をご紹介させていただきます。
■講演1「子どもの食物アレルギー」
講 師:わたなべ小児科・アレルギー科(札幌市手稲区) 渡辺 徹 先生
食物アレルギーとは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」をいいます。そして、近年のトピックとして
①食物アレルギーは「食べなくても」「経皮的に感作ー皮膚からの吸収」でも起こるといわれている
②2016年の食物アレルギーガイドラインによると、子どもの食物アレルギーについて、原因である食べ物をすべて除去するのではなく、「可能な範囲で摂取することを目指す方針」へと大きく変わっている。その他に基本的な知識として
③食物アレルギー患者への投与禁忌の医療用医薬品について
④エピペンについて
⑤食物アレルゲン表示の表示義務(特に発症数、重篤度から考えて表示する必要性が高いもの)は
卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに である 等
食物アレルギーについて学び直すことができました。
■講演2「代替甘味料について」
講 師:北海道大学大学院歯学研究院予防歯科学教室 兼平 孝 先生
代替甘味料は歯科では①非う蝕性=齲蝕にならない②低う蝕性=う蝕の原因になりにくい③抗う蝕性= 砂糖と一緒に摂っても砂糖のう蝕性を抑えてくれるといった働きが求めれれる甘味料である。不溶性グルカンの基質にならない、酸産生基質にならないことである。
代替甘味料は大きく糖質系甘味料(スクラロース、パラチノース、オリゴ糖、糖アルコール、等)と非糖質系甘味料(サッカリン、アスパルテーム、グリチルリチン、ステビア、等)に分けられるが、それぞれの代表的甘味料について、先生が恐縮されていた化学式、無益回路なども含め詳しく説明していただきました。時代ととも「勝ち組」の代替甘味料や「負け組」の甘味料があることも興味深く聞かせていただきました。
場の質問で「シュガーレス」(むし歯にならない)と「ノンシュガー」(砂糖は入っていない)の使い分けがについて質問がありましたが、1980年以来同じ意味で使っていいという回答がありました。
(広報 今村 記)