集団フッ化物洗口
ここではWHOの推奨するむし歯予防第2位の集団フッ化物洗口についてご紹介します。
週1回1分間のブブクブクうがいで予防
フッ化物洗口法によるむし歯予防は12歳のDMFT(虫歯の経験した歯の本数についての指数)を下げる目的が最終目標ではありません。歯質強化によって、成人になっても継続するむし歯予防効果を目的としています。歯質の強化によってむし歯の重症化も防げます。
実施方法
洗口法には、毎日法(フッ素イオン濃度で225ppm)と週1回法(フッ素イオン濃度で900ppm)があります。薬事法では1万ppm(1%)未満の濃度の溶液は普通薬です。
週1回でも、30秒-1分間ブクブクするだけで、永久歯のむし歯を30~80%予防します。長年継続する必要があることから、継続が容易な集団での応用が優れています。
必要な器材は、500ml入りポリビンに入ったフッ化物溶液とコップ(紙コップが便利)と1分間、時間を計るものです。
実施には、年間1人当たり200-400円で済みます。
洗口の順序をお知らせします。
まず、ポリ容器からフッ化物洗口液を入れます。
2押しで幼稚園児や学童が必要な量5-7ml、
3押しで中学生や大人が必要な量10mlが出ます。
洗口液を口に含み、ほっぺたをふくらませて下を向いて、奥歯の歯に洗口液が行き渡るように元気よく、ブクブクうがい(洗口)をします。時間は30秒~1分間です。
洗口後コップに吐き出します。
必要ならティシュペーパーで口のまわりを拭きます。
吐き出した洗口液後はバケツに捨て流しに水とともに流します。
教室に洗口場が特にある必要はありません。
最後に器具を片付けます。
洗口後30分間は、うがいや飲食物をとらないようにします。
洗口実施状況
世界では、2000年WHOの発表では1億人が実施しています。
全国では、2006年3月の全国調査では、保育所・幼稚園・小中学校など集団でのフッ素洗口を実施しているのは5133施設で約49万人が実施しています。4年前に比較すると20万人も増加しています。
北海道におけるフッ化物洗口法の実施状況は2006年全国調査では、143施設8,140人です。
北海道内の実施状況の詳細
保育所 | 76施設 | 2,223人 |
幼稚園 | 45施設 | 3,533人 |
小学校 | 21施設 | 2,374人 |
中学校 | 1施設 | 10人 |
合計 | 143施設 | 8,140人 |
フッ化物洗口の予防効果
都道府県比較
〈出典〉日本歯科医師会・地域保健委員会調べ(2002年)
2002年の調査では、12歳児(中学1年生) 一人平均むし歯経験歯数(DMFT)を都道府県別に比較すると、学童の52%がフッ化物洗口を実施している新潟県が最も低く、さらにフッ化物洗口実施市町村だけみる0.92本と北海道の4分の1でした。
北海道は全国で2番目に多いことが分かります。
市町村比較
新潟県では、2003年に中学1年(12歳児)の一人平均むし歯数を比較するとフッ化物洗口実施と未実施市町村では倍の違いがありました。
洗口後、20歳での効果
厚生労働省・歯科疾患実態調査 1992年
20歳で、厚生労働省 歯科疾患実態調査の全国平均と比較すると、保育・幼稚園・小学校でフッ素洗口をしていた新潟県牧地域は、未実施者のむし歯数は半分以下でした。
フッ化物洗口を止めた後も効果が持続していることが分かりした。
洗口後、32歳での効果
保育園、小学校、中学校でフッ化物洗口を実施した新潟県弥彦村出身者の32歳時点での一人当たりのむし歯数は全国平均の約1/3でした。
フッ化物洗口を止めた後も効果が持続していることが分かりました。
北海道の事例
旧穂別町・フッ化物洗口でむし歯予防効果大
現在、鵡川町は旧穂別町と旧鵡川町とが合併した町です。
1987年から19年間、旧穂別町はむし歯予防のために4、5歳児から小学校卒業まで週1回1分間のフッ化物洗口を全町で実施してきました。そこで北海道保健福祉部が、小学生のむし歯の状態を旧鵡川町と比較してみたところ、図のように各学年とも極端に差があることが解りました。
ちなみに旧鵡川町の3.5本は北海道の他の地域と比べ特に多いというわけではなく北海道の平均3.4本とほぼ同じです。
4、5歳だけ実施し、小学校で実施していない場合
フッ化物洗口によるむし歯予防は一時的にむし歯を予防するのではありません。フッ素による歯質強化によって、その後もむし歯予防効果が持続し、むし歯の重症化も防げます。
洗口の経済効果
新潟県は1990年の一人あたりの歯科治療費をフッ化物洗口経験別に比較しました。
特に、洗口経験年数6年以上の 29市町村と洗口実施経験なしの37市町村を比較すると、年間4,556円も違うことが分かりました。
一人あたりフッ化物洗口実施年間費用200-400円と比較すると経済効果は10倍以上でした。
危険率
* 5%以下
** 1%以下
国が推進の通達(2003年1月14日)
2003.1.14に「各都道府県知事」宛に厚生労働省医政局長・健康局長連名でフッ化物洗口ガイドラインを送付し普及を促しています。
国がガイドラインを出す意味は、「ガイドラインに沿って実施するならば効果と安全性は国が保証する。何か不都合があったら国が責任を取る」という信頼性が高い方法です。
それを受けて実施施設が増加しています。
通達全文はこちらです。
国の「フッ化物洗口ガイドライン」が収載された「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」です。
●編集委員 12名
●事例報告者 5名
●厚生労働科学研究班研究員 35名
●顧問 3名
●内容
・はじめに
・対象者
・フッ化物洗口の実施方法
・関連事項
う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル
(フッ化物応用研究会編 発行所:社会保険研究所)2,000円+税
学校実施での洗口の法的根拠
昭和60年の国の見解は、
①学校の場でのフッ化物洗口は、学校保健法第2条に規程する学校安全計画に位置付けられ、学校における保健管理の一環として実施されている。
②劇薬から劇薬でない医薬品を薬として製造するには、薬事法に基づく製造業の許可が必要である。しかし、学校の養護教諭がフッ化ナトリウムを含有する医薬品をその使用方法に従い、溶解、希釈する行為は、薬事法及び薬剤師法に抵触するものではない。
フッ化物洗口 北海道教育委員会の議会答弁
H18年6月19日 北海道議会・文教委員会質疑・角谷議員質問答弁記録より抜粋
質 問
学校におけるフッ化物洗口について
まず、フッ化物洗口等のフッ化物を用いたむし歯予防法について、政府は安全性に問題はなく、歯磨き、甘味制限と併せて最適なむし歯予防法と見解を示しているところでありますが、道教委では、政府や専門団体の見解と異なる考えを、お持ちなのかお伺いいたします。
答 弁
学校におけるフッ化物洗口についてでございますが、道教委としましては、安全性について問題はないとしております昭和60年の内閣答弁書や、4歳児から14歳までの期間に実施することがむし歯予防対策として大きな効果をもたらすこととしております厚生労働省のガイドラインを参考としまして、フッ化物洗口について指導しているところでありまして、今後とも児童生徒の歯の健康を保つことができるよう、知事部局と十分連携しまして、学校や市町村教育委員会に対して指導してまいります。
質 問
フッ化物洗口について
次に、この道教委の考え方が原因となりまして、旧穂別町において長年続けられた、そしてまた、顕著な効果をあげてきたフッ化物洗口の中止が検討されるなど、全道のフッ化物洗口実施施設への影響も極めて大きいことから、このような考え方を改めるべきではないかと考えますが、いかがなものでしょうか。
答 弁
フッ化物洗口についてでございますが、現在、厚生労働省のガイドラインを参考といたしまして、学校や市町村の教育委員会に対しまして指導しているところでございますが、フッ化物洗口の実施につきましては、学校保健法2条に規定する学校保健安全計画に位置付けられ、学校における保健管理の一環として実施されるものであることにつきましての周知がこれまで不十分でありましたことから、これらの点が正しく伝わるよう徹底してまいります。
フッ化物洗口 国の見解
「フッ化物洗口ガイドライン」2003年1月14日
医政発第0114002号
健発第0114006号
平成15年1月14日
都道府県知事 殿
厚生労働省医政局長
厚生労働省健康局長
フッ化物洗口ガイドラインについて
健康日本21における歯科保健目標を達成するために有効な手段として、フッ化物の応用は重要である。
我が国における有効かつ安全なフッ化物応用法を確立するために、平成12年から厚生労働科学研究事業として、フッ化物の効果的な応用法と安全性の確保についての検討が行われたところであるが、この度、本研究事業において、「フッ化物洗口実施要領」 を取りまとめたところである。
ついては、この研究事業の結果に基づき、8020運動の推進や国民に対する歯科保健情報の提供の観点から、従来のフッ化物歯面塗布法に加え、より効果的なフッ化物洗口法の普及を図るため、「フッ化物洗ロガイドライン」を別紙の通り定めたので、貴職におかれては、本ガイドラインの趣旨を踏まえ、貴管下保健所設置市、特別区、関係団体等に対して周知方お願いいたしたい。
別紙「フッ化物洗ロガイドライン」
1.はじめに
フッ化物応用によるう蝕予防の有効性と安全性は、すでに国内外の多くの研究により示されており、口腔保健向上のためフッ化物の応用は、重要な役割を果たしている。
わが国においては、世界保健機関(WHO)等の勧告に従って、歯科診療施設等で行うフッ化物歯面塗布法、学校等での公衆衛生的応用法や家庭で行う自己応用法であるフッ化物洗口法というフッ化物応用によるう蝕予防が行われてきた。特に、1970年代からフッ化物洗口を実施している学校施設での児童生徒のう蝕予防に顕著な効果の実績を示し、各自治体の歯科保健施策の一環として、その普及がなされてきた。
そのメカニズムに関しても、近年、臨床的う蝕の前駆状態である歯の表面の脱灰に対して、フッ化物イオンが再石灰化を促進する有用な手段であることが明らかになっており、う蝕予防におけるフッ化物の役割が改めて注目されている。
こうした中、平成11年に日本歯科医学会が「フッ化物応用についての総合的な見解」をまとめたことを受け、平成12年度から開始した厚生労働科学研究において、わが国におけるフッ化物の効果的な応用法と安全性の確保についての研究(「歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究」 )が行われている。
さらに、第3次国民健康づくり運動である「21 世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)においても歯科保健の「8020運動」がとりあげられ、2010年までの目標値が掲げられている。これらの目標値達成のための具体的方策として、フッ化物の利用が欠かせないことから、EBM(Evidence Based Medicine)の手法に基づいたフッ化物利用について、広く周知することは喫緊の課題となっている。
このような現状に照らし、従来のフッ化物歯面塗布法に加え、より効果的なフッ化物洗口法の普及を図ることは、「8020」の達成の可能性を飛躍的に高め、国民の口腔保健の向上に大きく寄与できると考えられ、上記の厚生労働科学研究の結果を踏まえ、最新の研究成果を盛り込んだフッ化物洗口について、その具体的な方法を指針の形として定め、歯科臨床や公衆衛生、地域における歯科保健医療関係者に広く周知することとした。
2.対象者
フッ化物洗口法は、とくに、4歳児から14歳までの期間に実施することがう蝕予防対策として最も大きな効果をもたらすことが示されている。また、成人の歯頸部う蝕や根面う蝕の予防にも効果があることが示されている。
1) 対象年齢
4歳から成人、老人まで広く適用される。特に、4歳(幼稚園児)から開始し、14歳(中学生)まで継続することが望ましい。その後の年齢においてもフッ化物は生涯にわたって歯に作用させることが効果的である。
2) う蝕の発生リスクの高い児(者)への対応
修復処置した歯のう蝕再発防止や歯列矯正装置装着児の口腔衛生管理など、う蝕の発生リスクの高まった人への利用も効果的である。
3. フッ化物洗口の実施方法
フッ化物洗口法は、自らでケアするという点では自己応用法(セルフ・ケア)であるが、その高いう蝕予防効果や安全性、さらに高い費用便益率 (Cost-Benefit Ratio)等、優れた公衆衛生的特性を示しでいる。特に、地域単位で保育所・幼稚園や小・中学校で集団応用された場会は、公衆衛生特性の高い方法である。なお、集団応用の利点として、保健活動支援プログラムの一環として行うことで長期実施が確保される。
1) 器材の準備、洗口剤の調製
施設での集団応用では、学校歯科医等の指導のもと、効果と安全性を確保して実施されなければならない。
家庭において実施する場合は、かかりつけ歯科医の指導・処方を受けた後、薬局にて洗口剤の交付を受け、用法・用量に従い洗口を行う。
2) 洗口練習
フッ化物洗口法の実施に際しては、事前に水で練習させ、飲み込まずに吐き出さとることが可能になってから開始する。
3) 洗口の手順
洗口を実施する場合は、施設職員等の監督の下で行い、5-10mlの洗口液で約30秒間洗口(ブクブクうがい)する。洗口中は、座って下を向いた姿勢で行い口腔内のすべでの歯にまんべんなく洗口液がゆきわたるように行う。吐き出した洗口液は、そのまま排水口に流してよい。
4) 洗口後の注意
洗口後30分間は、うがいや飲食物をとらないようにする。また、集団応用では、調整した洗口液(ポリタンクや分注ポンプ)の残りは、実施のたびに廃棄する。家庭用専用瓶では、一人あたり約1 か月間の洗口ができる分量であり、冷暗所に保存する。
4. 関連事項
1) フッ化物洗口法と他のフッ化物応用との組み合わせ
フッ化物洗口法と他の局所応用法を組み合わせて実施しても、フッ化物の過剰摂取になることはない。すなわちフッ化物洗口とフッ化物配合歯磨剤及びフッ化物歯面塗布を併用しても、 特に問題はない。
2) 薬剤管理上の注意
集団応用の場合の薬剤管理は、歯科医師の指導のもと、歯科医師あるいは薬剤師が薬剤の処方、調剤、計量を行い、施設において厳重に管理する。
家庭で実施する場合は、歯科医師の指示のもと、保護者が薬剤を管理する。
3) インフォームド・コンセント
フッ化物洗口を実施する場合には、本人あるいは保護者に対して、具体的方法、期待される効果、安全性について十分に説明した後、同意を得て行う。
4) フッ化物洗口の安主性
1 フッ化物洗口液の誤飲あるいは口腔内残留量と安全性
本法は、飲用してう蝕予防効果を期待する全身応用ではないが、たとえ誤って全量飲み込んだ場合でもただちに健康被害が発生することはないと考えられている方表であり、急性中毒と慢性中毒試験成績の両面からも理諭上の安全性が確保されている。
①急性中毒
通常の方法であれば、急性中毒の心配はない。
②慢性中毒
過量摂取によるフッ化物の慢性中毒には、歯と骨のフッ素症がある。歯のフッ素症は、顎骨の中で歯が形成される時期に、長期間継続して過量のフッ化物が摂取されたときに発現する。フッ化物洗口を開始する時期が4歳であっても、永久歯の歯冠Iは、ほぼできあがっており、口腔内の残留量が微量であるため、歯のフッ素症は発現しない。骨のフッ素症は、8ppm 以上の飲料水を20年以上飲み続けた場合に生じる症状であるので、フッ化物洗口のような微量な口腔内残留量の局所応用では発現することはない。
2 有病者に対するフッ化物洗口
フッ化物洗口は、うがいが適切に行われる限り、身体が弱い人や障害をもっている人が特にフッ化物の影響を受けやすいということはない。腎疾患の人にも、う蝕予防として奨められる方法である。また、アレルギーの原因となることもない。
骨折、ガン、神経系および遺伝系の疾患との関連などは、水道水フッ化物添加(Fluoridation) 地域のデータを基にした疫学調査等によって否定されている。
5. 「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニユアル」
フッ化物応用に関する、より詳細な情報については、厚生労働科学研究所「フッ化物応用に関する総合的研究」班が作成した「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」を参照されたい。
道内におけるフッ化物洗口導入までの具体例
伊達市、登別市、千歳市におけるフッ化物洗口導入までの経過についての資料を掲載いたします。
伊達市フッ素洗口導入までの経過について
昭和54年3月7日 | 伊達市学校保健会成立総会 |
9月18日 | 歯科医と学校保健担当者との合同研修会の開催 ・内容/「学校現場における歯磨き指導等について」 ・フッ素洗口法について、初めて、学校関係者に「試験的に何校か実施してはどうか」と提案 |
昭和55年9月14日 | 歯科部会の開催 ・議題/フッ素洗口について ・実施する方向で資料収集を行うことを決定し、資料収集を開始する。 |
昭和56年7月17日 | 室蘭歯科医師会第7回理事会 ・伊達市学校保健会が実施を予定していたフッ素洗口について了承。 |
10月15日 | 歯科部会の開催 ・議題/フッ素洗口について ・種々の意見が出されるが、中でも毒性についての意見が多数出される。 ・フッ素の安全性についての質問状に対する回答(北海道衛生部長、昭和55年2月2日) |
11月20日 | フッ素洗口説明会の開催 ・対象/学校関係者(PTA含む) |
12月16日 | 伊達市学校保健会役員会 ・来年度からのフッ素洗口の導入の是非について、会長が導入の方向を示す。 |
昭和57年5月20日 | 伊達市学校保健会総会 ・会長が、57年度からフッ素洗口を実施することを表明。 |
6月18日 | 歯科部会の開催 ・フッ素洗口実施に向けて活動スケジュール等の決定。 ・1学期~学校現場の協力を得る。 ・2学期~父母の理解を図る。 ・3学期~問題点を集約し、解決にあたる。 |
7月 | 学校保健会開放に「フッ素洗口について」の説明を2回掲載。 |
9月 | 登別小学校見学 |
12月3日 | フッ素洗口の実施について協議 ・経過報告と今度の取組みについて。 ・実施希望校~4校(長和小、関内小、伊達小、黄金小) ・3学期から実施。 ・全身疾患、アレルギーがある児童について~役員会において結論を出す。 |
12月14日 | 伊達市学校保健会役員会 ・全身疾患、アレルギー疾患にあっても、問題なしとの結論。個々の例については、学校医に相談。 ・実施日等 伊達小 火・水・木 8:20~8:35 関内小 土 8:20~8:35 長和小 土 8:20~8:35 黄金小 土 8:20~8:35 ・フッ素洗口希望申込書の作成。 |
昭和58年1月 | フッ素洗口開始 |
登別市におけるフッ素洗口の歩み
昭和53年 | 登別小学校・当時の文部省のむし歯予防研究推進校に指定される |
昭和54年6月 | 登別小学校・学校歯科医指導のもとフッ素洗口開始(現在も週1回法で実施) |
平成元年~5年 | モデル事業として、市立の幼稚園・保育所にフッ素洗口が導入される (現在も4・5歳児を対象に週5回法で実施) |
平成12年2月 | 厚生省(当時)<健康日本21>各都道府県に通知 これにより8020運動が国の政策として位置付けられた |
平成13年9月 | 市教委による教員対象の学習会実施 |
平成15年1月 | 厚生省<フッ化物洗口ガイドライン>各都道府県に通知 「4歳から14歳間でフッ化物洗口を継続することが望ましい」 |
9月 | 市教委による管理職対象の学習会実施。導入に向けた具体的な話はなし。 |
平成16年3月 | 登別市議会においてフッ素洗口について質疑が行われる |
6月 | 市教研養護部会に市教委員訪問「フッ素洗口について率直な意見を聞きたい」 登別市PTA連合会と教育長懇話会の席上での教育長の発言 「フッ素洗口を全市的に実施したい。フッ素は安全である。」 |
7月 | 市教研養護部会三役がフッ素洗口について申し込み 「市の方針として小学校へのフッ素洗口導入をけんとうしている。 それに向けて保護者・学校関係者を対象にした学習会を実施し理解を得たい」 |
9月 | チラシ配布(市内全世帯対象) |
6月 | むし歯予防(フッ素洗口)事業に係る合同学習会 主催:室蘭保健所、室蘭歯科医師会、登別市 |
10月 | 登別市議会において市立幼稚園・保育所のフッ素洗口について質疑が行われる 市校長会に学校歯科医2名が参加 各小学校単位で学習会実施要請 |
11月 | 市議会議員との懇談会 |
12月 | 「広報のぼりべつ」掲載:特集 みんなで進める「8020運動」 「第1回フッ素を考える市民集会」テーマ;フッ素は本当に安全で有効なの? 主催:「フッ素洗口を考える会」(事務局;北教祖登別支部) 温泉小学校PTA主催の学習会 |
平成17年3月 | 若草小学校PTA会長から教育長に対し「フッ化物実施に関する要望書」 及びアンケート調査の結果が提出される |
4月 | 幌別町学校PTA会長からアンケート調査の結果が提出される |
9月 | 「歯の健康を考えるシンポジウム」 パネルディスカッション(健康な歯を残す秘訣) 主催:北海道歯科医師会、室蘭歯科医師会、登別市 |
10月 | 「第2回フッ素を考える市民集会」テーマ;フッ素は安全?有効? |
11月 | 幌別小学校PTA会長から教育長に対し「PTA役員の見解」が提出される |
平成18年6月 | フッ化物洗口実施事前説明会の開催:幌別小、幌別東小、若草小で実施 |
7月 | フッ化物洗口実施希望申込書を保護者へ送付(各学校) |
8月 | 学校教職員を対象とした実施手順説明会の開催 |
9月 | 幌別東、幌別小学校でフッ化物洗口スタート |
10月 | 若草小学校でフッ化物洗口スタート |
平成19年5月 | 新たに青葉小学校PTA主催の学習会が開催される |
千歳市におけるフッ素洗口の歩み
昭和49年より | 千歳保健所でフッ素塗布開始 |
平成元年 | 「むし歯予防デー」千歳歯科医師会主催 千歳市共催 歯科担当は保健師1名 |
平成7年 | 千歳市 第2種非常勤歯科衛生士 3名配置(乳幼児健診など月数回) |
平成9年 | 歯科保健推進会議を開始 (千歳歯科医師会・教育委員会・児童家庭課・子ども療育課・保健所・健康推進課) 育児相談で歯科相談実施 第2種非常勤歯科衛生士4名配置 「むし歯予防デー」千歳歯科医師会主催 千歳市共催 歯科担当は保健師1名 「健康祭り」で無料フッ素塗布開始 |
平成10年 | 第1種非常勤歯科衛生士の配置 道のフッ素塗布事業移管で千歳市でフッ素塗布・歯科相談事業始まる |
平成12年 | 歯科担当職員4名(母子・成人・高齢者担当保健師各1名、第1種非常勤歯科衛生士) 口腔衛生学会(全国大会 札幌)で発表 フォーカスグループインタビューを実施。ミドリ理論を用いた乳幼児歯科保健計画開始 歯科通信1号発行(歯科医師へ市の状況やイベント結果の紹介) |
平成13年 | 歯科保健計画で保育所長と打ち合わせ(保育所歯科検診集計把握開始) 口腔衛生学会(地方会 室蘭市)で乳幼児歯科保健の取り組みを発表 フッ素と乳幼児健診の同時実施に向け平成14年1月よりアンケート実施 (1歳6ヶ月児健康診査、3歳児健康診査対象者) 市立保健所で子どもに対する歯科の健康教育開始 |
平成14年 | 保育所でのフッ素塗布に向けて市立保育所4ヶ所で12月にアンケート実施 千歳幼稚園でフッ化物洗口に向けて調整するも事業は見送り |
平成15年 | 乳幼児健診、保育所、幼稚園、小中学校での歯科検診の統一 1歳6ヶ月児健康診査、3歳児健康診査でフッ素塗布同日実施 市立保育所(4ヶ所)で4歳、5歳児希望者にフッ素塗布を実施 民間保育所4ヶ所にも推奨、各自実施 第2種非常勤歯科衛生士8人配置 |
平成16年 | おやつ対策調査実施 「むし歯予防デー」のちらし配布時に、各幼稚園にむし歯予防教室のPRを実施 保育所長、保育課と調整し、フッ化物洗口事業保育所職員向け説明会実施 |
平成17年 | 子どものおやつ対策アンケート、おやつ教室の実施 私立幼稚園への歯科健康教育開始 フッ化物洗口事業実施調整つかず1年延期 実施主体、実施方法など歯科医師会、保育課、保育所長とさらに調整し 平成18年度に保育所4歳5歳児対象に実施することが決定 フッ化物洗口事業 保育所職員向け説明会実施 |
平成18年 | フッ化物洗口事業 市立保育所4ヶ所・民間保育所5ヶ所で実施 保護者説明会を歯科医師会歯科医師、保健師、保健推進課歯科衛生士が担当し実施 ミラノール使用(週2回法 450ppm) |
北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案の関連資料集
平成21年6月16日、北海道議会にて「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案」が修正議決され、条例は、平成21年6月26日に公布、同日より施行されております。北海道議会の公式サイトでは、修正議決された条例案が公開されています。
会議案一覧
2.北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案
以下、一部引用します。
(効果的な歯科保健対策の推進等)
第11条 道は、幼児、児童及び生徒に係る歯・口腔の健康づくりの推進を図るため、学校等におけるフッ化物洗口の普及その他の効果的な歯科保健対策の推進に必要な措置を講ずるものとする。
(道民歯科保健実態調査)
第14条 道は、道民の歯・口腔の健康づくりの推進を図るため、おおむね5年ごとに、道民歯科保健実態調査を行うものとする。
(財政上の措置)
第15条 道は、歯・口腔の健康づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(年次報告)
第16条 知事は、毎年度、議会に、歯・口腔の健康づくりに関する施策の推進状況に関する報告を提出しなければならない。
「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案」に関する会議録が公開されています。
平成21年3月18日の本会議(すべて文書化されています)
平成21年3月18日の本会議(音声が公開されています)
平成21年5月10日に有限責任中間法人日本口腔衛生学会理事長米満正美名義にて、自民党・道民会議北海道議会議員会政策審議委員会委員長柿木克弘殿に報告された、フッ化物洗口の質疑に関する見解です。
北海道議会におけるフッ化物洗口の質疑に関する見解
1)厚生労働省は「フッ化物洗口ガイドライン」(2003年)によって、フッ化物洗口の有効性と安全性を確認して推奨している。本学会はこれを全面的に支持するものである。
2)条例案に反対する質問者が引用したフッ化物洗口に関する有害性や副作用は、科学情報の誤認や論旨の不合理なところが多数見受けられる。
3)国内外の広範囲な調査結果から、フッ化物洗口事業のむし歯予防効果については、約30~80%の予防率が期待でき有効であるとの評価が得られている。
4)適切に行われるフッ化物洗口での1日あたりフッ化物の摂取量は、WHO(世界保健機関)が推奨する水道水フッ化物濃度調整(フロリデーション)の場合に比べても1/4~1/5であり安全性は高い。国内外の広範囲な調査結果から、心配される全身的な影響の証拠は認められていない。
5)WHO、FDI(国際歯科連盟)、PHS(米国公衆衛生局)等をはじめとする世界の歯学医学保健専門機関が合意している「フッ化物応用は安全で、むし歯予防に有効な歯科公衆衛生手段である」との結論が得られている。またわが国において、日本歯科医学会(1999年)、日本歯科医師会(2000年)、日本口腔衛生学会(2002年)、厚生労働省(2003年)、日本学校歯科医会(2005年)等により本方法に関する学術的、技術的検討が行われ、その有用性が確認されてきている。
6)今日、わが国でも小児期・学齢期のむし歯は減少傾向となってきている。しかし、むし歯経験歯数は依然として高く12歳児で比較すると先進諸外国の約2倍のレベルにあり、また都道府県格差、地域格差、個人格差も強く残っている。口腔の健康が全身の健康や生活の質に大きく係わっていることは医学専門機関の一致する見解となっている。したがって、公衆衛生特性の高いむし歯予防法であるフッ化物洗口をわが国で普及する意義は大きい。
平成21年6月に北海道子供の歯を守る会会長堅田進、並びに日本口腔衛生学会北海道地方会幹事長千葉逸朗名義にて、道議会議員に報告された、2009/05/12の成田憲一氏の「陳述の問題点」についての意見書です。
「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案」に対する2009/05/12北海道議会保健福祉委員会意見陳述人成田憲一氏の「陳述の問題点」についての意見書
添付参考資料図 1 フッ化物洗口風景
添付参考資料図 2 フッ化物洗口の安全理由
参考資料 1 氾濫する健康情報を正しく選択するには?
参考資料 2 急性中毒や慢性中毒症とフッ化物の量との関係図
参考資料 4 米国はフッ化物を有益な栄養素とし、一日に摂るべき目安量を設定(意見書P32に記載)
参考資料 5 健康情報の信頼性を判断する6段階のフローチャート
参考資料 6 歯のフッ素症について解説した図
以下一部引用です。
又この度は、これからの道民の健康にフッ化物洗口が必要であることをご理解いただき、2009年6月16日道議会において、100対2という圧倒的多数の賛成により、「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」が成立するのにご尽力いただきましたことに心から感謝申しあげます。
また、保健福祉委員会において成田氏は、約30分間の陳述の間に26箇所の「誤りや不適切な問題ある陳述」、委員会での陳述と重複しない「配布文書の中での大きな誤りと問題点」5箇所、合計31箇所の「問題ある陳述」を道議会に対していたしております。
その一方でほんのわずかな反対者だけが“論争がある”と主張するにすぎません。それはフッ化物利用に対する科学的団体の見解を示しているのではありません。