第72回会員研修会の報告
平成23年11月12日、北海道母子福祉センターにて、財団法人新潟県歯科保健協会より山田智子事務局長をお招きして、第72回会員研修会が行われました。以下に、研修会の内容をご紹介させていただきます。
「受診者に持続的行動変容をもたらすコミュニケーション技術〜標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアルに基づく効果的な支援方法について〜」
これまでの歯科健診における歯科医師の役割は主に、口腔内診査でしたが、新しい歯科健診では、従来の疾病発見型から、行動・環境リスク発見型・行動変容型への転換が求められるようになりました。この新しい健診の指針として、日本歯科医師会では、標準的な成人歯科健診プログラム(以下「生活歯援プログラム」)を推進しています。
この生活歯援プログラムでは、質問用紙に記入された答えを類型化し、どのような支援が必要かを決定します。そのため、歯科医師・歯科衛生士は、受診者とのコミュニケーションがこれまで以上に求められます。
生活歯援プログラムを理解するため、参加者は、アイスブレイキング(自己紹介)として、「自分について好きなところ3つとその理由」の書きだし、コミュニケーション基本スキルとして、コミュニケーションと聞き手の態度の関係のシミュレーションを行いました。また保健指導のkey pointとして、思いつく限りのほめ言葉の書き出し、アサーティブ(非攻撃的)コミュニケーションのためのDESC法(Describe:客観的描写、Empathize:相手の気持ちに共感、Specify解決策、妥協策の提案、Choose:選択)、傾聴(心で聴く)、オウム返し・復唱(キーワードを読み解く)、ペーシング(同調)、質問法(オープン/クローズドクエスチョン)の使い分け、想像力を引き出す(未来を見る、問題の解決方法を追求する)コーチングの技法、(外界・内面・解釈・決定に関する)思考の壁を打ち破る質問、マイルドな表現に言い換える方法などの実習を行い、五感を使って外部と内部を観察し、相手に寄り添う「支援」についての理解を深めました。
現在は保健センター等の機関での健診に用いられている「生活歯援プログラム」ですが、今後は、地域の歯科医院でのフォローアップが必要となります。そのためにも、歯科医師・歯科衛生士のコミュニケーション能力の向上が求められています。今度とも、継続的に研修を行い、コミュニケーションのスキルアップに努めなければいけないと、感じられました。(南出保)