会員研修会の報告

平成23年2月25日、北海道母子福祉センターにて、北海道医療大学の斎藤正人教授をお招きし、会員研修会が開かれました。以下に研修会の内容を紹介させていただきます。

「MIに基づくう蝕予防」 

FDAの提唱するMIの概念は、2000年の「いかに侵襲を減らすか?」というものから2002年の「MIによるう蝕管理」へと変化してきています。「MIによるう蝕管理」には、非う窩性病変の再石灰化を促す、という原則があります。これは言い換えるなら、フッ化物の効果が表れやすいような口腔内環境の整備が重要である、ということとなります。 

口腔内環境の整備の前処置として欠かせないのが、フィッシャーシーラントです。シーラント材には、レジン系のものとグラスアイオノマー系のものがあります。 

レジン系シーラント材にはティースメイト(クラレメディカル)などがありますが、処置歯がう蝕になることが多々あります。この原因として、う蝕原生菌が多い、口腔内環境が悪い、う蝕の上にシーラントを行ってしまった、シーラント材の気泡混入や練和不足などが考えられていますが、斎藤先生の臨床経験からは、リン酸エッチング処理の煩雑さ、過剰な歯質脱会のリスクなどが関係しているのではないか、ということです。 

グラスアイオノマー系シーラント材には、フジ㈽(松風)などがありますが、防湿に敏感ではない、フッ化物がリチャージされる、フッ化物イオン放出による抗菌効果、過脱灰が必要ではない、といった利点があります。グラスアイオノマー系シーラント材の欠点としては、練和作業が必要、審美性が低い、接着性が低いといった部分があります。 

近年、レジン系とグラスアイオノマー系の長所を備えたシーラント材の開発が進んでいます。ビューティーシーラント(松風)は、過脱灰ではなくホスホン酸系モノマーによる脱灰の抑制とキレート結合による接着、S-PRGフィラー含有によるフッ化物イオン放出などの特徴を備えています。 


研修会の最後には、斎藤教授と参加者との間で、活発な質疑応答が行われ、盛会のうちに終了いたしました。(南出保)