子どものむし歯予防講演会~フッ化物でむし歯ゼロを目指して~のご報告

【研修会参加報告】 
 子どものむし歯予防講演会~フッ化物でむし歯ゼロを目指して~  報告 
 平成30年3月10日(土)函館「花びしホテル」において表記講演会が開催されました。 
「北海道歯科医師会」、「函館歯科医師会」主催、「北海道子供の歯を守る会」と「北海道歯科衛生士会」が後援しました。 

 当日は80名(学校関係者は45名)の参加、函館市では来年度から全市の小学校でのフッ化物洗口が予定されており、熱心な学校関係者の姿が目立ちました。

<講演1>では渡島保健所の丹下貴司先生(本会理事)が 
「北海道および道南地域におけるフッ化物洗口の普及状況について」との演題での講演。 
 北海道の歯科保健の現状は、北海道自体が全国と比較してむし歯が多いが、その中でも道南地区は全道平均を下回わっっているとの残念な報告がありました。 
「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」の事、フッ化物洗口の予防効果、実施例などの報告の後、「地域の将来を担う子供たちの健康づくりのために、今後ともフッ化物洗口へのご理解とご協力をお願いします」との言葉で講演を締めくくられました。 

<講演2>では七飯町で開業されている鍋谷大史先生が 
「大沼小学校でのフッ化物洗口の実際について」との演題で講演。 
 2年前より始まった大沼小学校でのフッ化物洗口の実際について、スライドを提示しながら、思ってた以上に負担は少ない、今後始められる函館市の小学校の関係者に安心して取り組んでほしいと説明されました。短い期間でまだ成果はわからないが今後を楽しみにしているとの事です。 
<基調講演>では鶴見大学歯学部地域歯科保健学 教授 鶴本明久教授が、 
「超高齢社会におけるフッ化物応用」~幼児期からの予防戦略の重要性~との演題で講演。 

1.8020運動の重要性 
8020達成者は、なんでも噛め、運動能力が高く、自立度が高い、全体的な医療費が低いなどの特徴を持っている。咀嚼により海馬が活性化され、アルツハイマー認知症にもなりにくいなど豊富なデーターをもとに説明されました。歯を失う原因のむし歯は破折(失活歯に多い)まで入れると44%で、8020を達成するためには子供の頃からのむし歯予防が必要です。そのためにはフッ化物の応用は欠かせないと強調されました。 

2.フッ化物応用のエビデンス 
米国保健医療省へ提出されたガイドラインをもとにフッ化物の応用がむし歯予防のエビデンスが高いことを紹介。新潟県でのフッ化物洗口の取り組みを紹介されました。フッ化物配合歯磨剤の市場占有率の増加とともに12歳DMFが減少していることから、歯磨剤の効果は明らかではあるが、歯磨剤だけでは効果が弱く、フッ化物洗口が必要であると述べられました。 

3.フッ化物応用の安全性 
インターネットで検索するとたくさんの怪しげな健康被害が出てくるが、根も葉もないことで、またこれはフロリデーションに関することで、局所応用では全く心配ないことを強調されました。WHO,NIH,ヨーク大学等のEBM研究で(骨折、癌、ダウン症、認知症、IQレベルの低下などは)すべて否定されてます。 
 WHOや国際連合食料農業機関(FAO)はフッ化物を必須栄養素と位置付けています。これはカルシュウムなどと同じで多すぎても、少なすぎても健康問題になるとの事です。 

 講演会を聞き終えた学校関係者からは、「安全性について危惧があったが安心した」、 
 「自信をもって進めることが出来そうだ」との感想がありました。 
                              「樋口 俊夫記」