6/11 今年も!『youtubeでも見れちゃう』会員研修会開催のお知らせ
◇標題: 第74回WHO総会の口腔保健の決議と現代日本におけるう蝕予防の意義
◇講師:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野 教授
相田潤 先生
◇日時:令和4年6月11日(土)16:00~17:30
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2021年5月27日、世界保健機関(WHO)の第74回世界保健総会において、口腔保健に関する決議が承認された。国際歯科連盟やアメリカ歯科医師会はこれを「歴史的な決議」と報道しており、国際保健的にも、そして先進国においても、歯科口腔の重要性を再定義する者であり、大きくとらえられていることがわかる。日本においても日本口腔衛生学会から提言が出されている[1]。
決議が出された理由は、過去10年ほどにわたり、口腔保健の重要性が様々な角度やデータから広く認識されたためである。この重要性のひとつとして、歯科疾患の有病率が極めて高いことが挙げられる。これは世界的な大規模調査である「世界疾病負担研究」においてその初回調査といえる2010年から継続的に報告されて来たことであり、医学系のトップジャーナルの1つであるLancetなどで繰り返し論文が出されている。この結果、Lancetで初めてとなる口腔保健特集号が2019年に出版されることにもなった。
決議で述べられた口腔保健の重要性は、日本にも大部分であてはまる。例えば、う蝕は減っていることばかり強調されているが、日本においても他の疾患と比較すると多く、それは例えば高額な国民医療費につながっている。WHOの決議は、このような先入観でゆがめられていたと指摘されている健康政策上の価値判断を、データから客観的にとらえなおす機会を提供しているといえる。
決議の中では歯科疾患の健康格差についても強調されている。日本においても子どもから高齢者まで口腔の健康格差は大きい。健康格差の対策は簡単ではないことが多いが、子どもにおいては、幼稚園・保育園・こども園・学校などでの集団フッ化物洗口が、健康格差を減らす上で有効であることが知られている。本講演ではWHOの決議と日本における状況から、健康格差対策としての集団フッ化物洗口についても考えたい。
文献
1. 第74回WHO総会議決書を踏まえた口腔衛生学会の提言 [http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/statement/file/statement_202109.pdf]
略歴
2003年 北海道大学歯学部卒業
2004年 国立保健医療科学院専門課程修了
2007年 北海道大学大学院歯学研究科博士課程修了
2007年~2011年 東北大学大学院歯学研究科助教
2010年~2011年 University College London客員研究員
2011年〜2020年 東北大学大学院歯学研究科准教授
2012年〜2018年 宮城県保健福祉部 参与(歯科医療保健政策担当)兼務
2014年〜2020年 東北大学大学院歯学研究科臨床疫学統計支援室室長
2020年〜21年 東北大学大学院歯学研究科歯学イノベーションリエゾンセンター地域展開部門教授 (クロスアポイントメント)
2020年〜 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野教授
日本老年学的評価研究(JAGESプロジェクト)コアメンバー、口腔の健康格差の研究と政策の国際センターコアメンバー、日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会委員長などを務め、健康格差とその原因や解消方法の研究を中心に、口腔の健康と全身の健康や、東日本大震災と健康の社会的決定要因の変化と健康の研究などを行っている。